特許と出願の流れ
価値ある発明をした場合、日本で特許出願するのと同時に、諸外国での特許取得を考えることだろう。日本に出願してから1年以内に外国出願か国際特許出願を行えば、その出願も優先日にしたものと同等の扱いを受けられる。これがパリ条約の優先権である。
ケースによるが、特許を出願する国が具体的に1,2ヶ国のみと決まっている場合であれば、パリルートで出願する方が安価となり、4,5ヶ国以上になればPCTルートの方が安価となる。一般的に3~4ヶ国がクロスラインと言われている。
しかし優先日から12ヶ月で特許を欲しい国が絞りきれない場合やすべての国の費用や翻訳文を用意できない場合など、これらの期限をできるだけ先延ばしにしたいという希望もあるだろう。こうした状況に対応できる有効な手段としてPCT国際特許出願がある。
国際特許出願(PCT出願)とは、「1970年6月19日にワシントンで作成された特許協力条約」で定められた世界知的所有権機関が管理する条約のひとつで、PCT出願を行うと、複数の各国に特許を出願したと同様の効果があるが、複数の各国で特許権を一律に取得できるわけではない。
しかし、PCT出願を行うメリットとして、日本出願から概ね30ヶ月で実際に取得したい国を選択して国内移行を行えばよいため、出願手続きに時間的な猶予を得ることができる。